ブログ

監視社会が進む国での「21世紀の伝道者たちの証し」

2026年9月29日

(夕景の富士山遠望 - 東京湾上空より 撮影 稲葉 ジョセフ (以下省略))

 キリストの福音伝道が禁じられているA国に、今年、二度伺う機会が与えられました。具体的には書けないのですが、その地の伝道者たちから話を聞き、とても深く感動し、励まされました。

  A国には、過去3回ほど、直近では約10年前に訪れています。10年前と比べて、街並みの近代化が一層進み、大きく変わっていました。その一方で、AIや画面認証等の技術が進歩する中、厳しい監視社会化が一層、進んでいるとのことです。

  この国で長年、ビジネスをしながら伝道活動を続けているBさんは、言います。「この3年で、さらに大きく変化し、監視社会化が進んでいる。クレジットカードが無いと生活できず、何を買っているか個人情報もつぶさに把握され、購入した商品関連の宣伝レターやメールがたくさんくる。どこにでも監視カメラがあり、特に顔認証ができる時代になってから監視力が変わった」

(アリューシャン諸島上空の星空の輝き)

 さらに「メール等のチェックも厳しくなり、ほとんどのEメールやSNSはチェックされている。特に『転送されたメール』や、内容が『10人あまりの集会の呼びかけ』等になると『暴動・反政府活動』等の危険性を疑われ、捜査対象になる。この前も、友人の子が我が家に遊びに来ていた時、数人の捜査官が踏み込んできた。同じマンションに住むその友人が10数人に転送したEメールが捜査対象になったとのことだった」

(カリフォルニア州サンタバーバラの夕景)

 Bさんの知人であるCさんとも出会いの機会が与えられました。Cさんは、優しく、物静かで落ち着いた感じの若いお母さんで、仕事の手を休めて、笑顔で迎えてくれました。

  Cさんはクリスマスイブの日、赤ちゃんを背負いながら、福音のトラクトを配る路傍伝道をしていました。伝道が禁止されているこの国でも、以前はクリスマスイブの夜ぐらいは、トラクト配布等を見逃されていたそうです。

  しかし年々、当局の対応が厳しくなり、昨冬は誰かに通報され、10名ぐらいの捜査官が近づいてきたそうです。しかし、Cさんの前を通り過ぎてデパートの中に入り、逮捕は免れました。

番人の目がくらまされ、「牢獄の土台が揺れ動き、たちまち扉が全部開いて、すべての囚人の鎖が外れてしまった」(使徒16:26)という使徒行伝のようです。旧約聖書では、エリシャの祈りに主が答え、アラム人の目がくらまされ、エリシャは危険を脱しました(2列王記6:18)。エリシャの時代も、使徒の時代も、目がくらまされて助かった奇蹟が、「21世紀に再び起こった!」と私は思いました。

 Cさんの伝道は、監視カメラで撮影され、顔認証でID等が特定されたため、翌日、警察に呼び出されました。しかし最初に出会った刑事の方が事情聴取の尋問が始まる前に、「私の叔母もクリスチャンなんだ」と話し、取り調べへの答え方等、アドバイスをしてくれたそうです。Cさんは、その指導に沿って、他の刑事たちの尋問に答えました。

 クリスマスイブの夜の監視映像には、Cさんの横でトラクト配布をする、外国から来たDさんの様子も映っていました。Dさんが同じ団体に所属し、伝道が団体で行われていたとなれば、大ごとになり、Dさんは強制送還、団体も捜査対象となるとのことです。

「仲間か?」「いいえ」「でも、話してるのが映ってる」「クリスチャン同士でもあり、挨拶ぐらいはした」といった返答をし、帰宅が許されました。

(カリフォルニア州カタリナアイランドの夕景)

 長年、この国で仕事をしながら伝道を続けてきたEさんについて、ほかの何人かの人々が言いました。ほとんどの人々が、地元の人間だと思って接していると言います。言語も、見た目も立ち振る舞いも、この国の人々に同化し、職場の同僚たちですら、ほとんどの人々が、Eさんは、どこかの地方から出てきた人だと信じているとのことです。

 すごいなと思ったのは、日本に帰っても、必要以上の宣教報告等はしないことです。万が一にでも、情報が当局にもれないようにです。まさに伝道のためにいのちと人生をささげきり、語学も行動も向上・土着させ、祖国に戻っても秘密を守り切って、愛し、伝道に尽くし続ける「プロ」だなーと思いました。

(カリフォルニア州カタリナアイランドの夕景  撮影 稲葉 エミリ)

 今回、日本から同行してくれたFさんも、日本で伝道に命をささげている方です。Fさんが羽田空港に着き、タラップを降りた時の最初の一言は「日本に着いたら、ほっとした。息苦しさがない。監視カメラもほとんどなく、伝道しても逮捕されることもない。自由が与えられているんだなーと、改めてありがたく思った」「難しい地域でこれだけがんばっているのだから、時が良くても悪くても、扉が開かれているうちに伝えないと」

 A国から日本への観光客も多いです。これは単に、日本で観光を楽しみたいというだけでなく、意識・無意識にかかわらず「日本に来てほっとする」「自由」をエンジョイしておられるのかもしれません。

 

 とはいえ、黙示録の時代の中で、日本も含めて「監視社会化」は世界各地で進んでいます。「暗闇の来ないうちに仕事ができる」「光があるうちに」(ヨハネ12:35)、まだ残されている「伝道する自由」を最大限活かしていければと一層実感し、祈りました。

(岩手県花巻市 田園風景)