動議付けと聖書的人格形成

ジュリー・ホーン


 やる気を起こさせる

 子どもにやる気を起こさせようとするときに、まず覚えておかなければいけないことは、それは道徳的な理由に基づいたものでなければならないということです。

 子どもがいつも明るくて、勉強する気持ちになっていられるという方法があるわけではないのです。子どもは、わたしたちと同じで、罪深い性質を持って生まれてきます。「自分のやりたいことをしたい」と思うのが人間の罪です。ですから、やりたくないことをやる、大変なことを成し遂げるというときには、聖霊の力が必要になってきます。子どもが小さいときから、この学びは始まっています。子どもにやる気を起こさせ、しかもそれが道徳的な理由に基づいているためには、神さまの導きを求めなければなりません。

 やる気というのは苦労が伴うものです。勉強したり、宿題をやったりするということが、いつも楽しいとは限りません。時には、自分自身の中から出てくる欲求に、「それはいけない」と言わなければなりません。それには、自制心が必要になってきます。それと同時に、わたしたちは子どもたちが勉強するときには喜びを持ってほしいと願うのです。しかし、それは自然にやってくるものではありません。この自制心と喜びというものは、御霊の実に属することだからです。皆さんのご存知のガラテヤ5:

22です。「御霊の実は、愛、喜び、平安、寛容、親切、善意、誠実、柔和、自制です。このようなものを禁ずる律法はありません」

 子どもが、自分の感情をコントロールしたり、大変なことでもやりぬくということを知らないならば、その子の学習は困難になります。しかし、覚えておかなければならないことは、それは少しずつ身につけていくことができるものだということです。大人と同じように、子どもたちも状態がいい日もあれば悪い日もあります。でも、悪い日があったとしても、がっかりしないでください。確かに学習的な面ではいい日とは言えないかもしれません。しかし、道徳的な面から言えば、それは祝福の日なのです。それと同時に、わたしたちは現実的でなければなりません。もし、教材や、勉強の内容があまりに難しかったりすると、子どもたちはやる気をなくしてしまいます。簡単すぎると、子どもたちは退屈してしまいます。ですから、わたしたちは子どもについて学んでいかなければなりません。ですから、やる気のある子どもを育てるためには、道徳的な訓練をしなければならないのです。

 

 ふたつの動議付け

 子どもにやる気を起こさせるために、ふたつの事柄があります。内側からの動機付け、そして外側からの動機付けです。内側からやる気を起こさせることが、わたしたちの最終的な目標です。ですから、わたしたちが望むのは、子どもが、「自分がやりたいから勉強する」というふうに導かれることです。子どもに学習するということに喜びをおぼえて欲しいと願うのです。それがあれば、子どもたちは生涯をかけて学習を続けていくことができます。

 内側からの動機付けということについて考えてみしょう。まず最初に、どうして勉強するのか、わたしたちのゴールは何なのかということを考える必要があります。

 もし、なぜ勉強するのかということがわからなければ、わたしたちは希望を失ってしまいます。「幻を見ない民は滅びる」と聖書に書いてあるとおりです。ですから、なぜ勉強するのか、ゴールは何なのかということを、子どもに知らせる必要があるのです。もし、目的つまりゴールというものが決まっていないのなら、どのようにして「この学習を終えた」ということを知ることができるでしょうか。

 たとえば、今日、わたしが「みなさんの英語の勉強を助けてあげましょう」と言ったとします。わたしはみなさんにやる気を起こさせようとします。すごく大きな英語の辞書を持ってきて、「さあ、この辞書に載っている言葉をぜんぶ勉強していきましょう」と言ったら、みなさんはどう思うでしょうか。希望を失ってしまいますよね。「いったいどうやってこんなにたくさんの情報を覚えることができるんだろう」と思ってしまいます。もし、声に出して読んだとしても、それをぜんぶ覚えることは不可能です。このような状況で、どうやってやる気を起こさせることができるのでしょうか。辞書の言葉を全て覚えることがゴールだとします。それならば、まずそれをやり遂げることができる少しづつの量に分けるのです。たとえば、「この中から

10個の単語を覚えましょう」と言ったとします。でも、「10個の単語なら覚えられるけれども、たった10個では使うことができない」と思ってしまうでしょう。ですから、「これだけ覚える」という最終的なゴールがあると同時に、「今できることは何なのか」というふたつの面で考えていく必要があります。やる気を起こさせるために、まずゴールを決め、そして、それをやり遂げることができる量に細かく分けていくのです。

 内側からの動機付けの二番目は、子どもが興味を持っているもの、子どもの興味の対象を学習に用いるということです。全く興味がないことを勉強するなら、子どものやる気を維持するのは難しいものです。みなさんが、子どもが興味を持っているものは何なのかをよく知っているなら、それを使って子どものやる気を高く保つことができます。たとえば、子どもに科学を教えようとしても、子どもが全く科学に興味を持っていないとします。でも、みなさんはその子のことをよく知っていますから、例えばその子が飛行機のことが大好きだということを知っています。もしそうならば、飛行機の構造について、または飛行機の歴史について子どもに調べさせることができます。飛行機の出発する時間、到着する時間を調べさせることによって、算数の勉強にもなります。子どもの内側から動機付けることによって、子どもが教科に対してやる気を持つことを助けるのです。

 また、子どもの興味の対象を学習に取り入れてやることで、子どもは「これは自分の勉強なんだ」という意識を持つことができます。ですから、できる限り子どもに選択肢を与えてあげるのです。科目の中に選択肢を与えてやることによって、子どもは高い動機と、学習に対する責任感を持つことができるからです。

 わたしの息子は、小さいころ、野球が大好きでした。でも彼は読むことが好きではありませんでした。ですから、わたしは彼に有名な野球選手の自叙伝なようなものを与えてやりました。すると、彼はそれを読むことができただけでなく、「もう夕食だから読むのをやめなさい」と言っても読み続けるほどに興味を示したのです。彼の興味を知ることによって、「勉強をしなさい」と強制することなく、彼は勉強する理由を自分から見出すことができたのです。だからといって、全ての分野で子どもが興味を持つことを取り入れなければいけないということはありません。もし、わたしの息子に野球の本ばかりを読ませていたとしたら、彼の興味は非常に狭い世界のままで終わってしまったと思います。

 

 興味を駆り立てる質問

 では、子どもが興味を持っていない分野に興味を持たせてやるにはどうすればいいのでしょうか。どのように助けてやればいいのでしょうか。

 どんな勉強をするにしても言えることですが、その問題を主の前に持っていかなければなりません。まず、わたしたちは先に控えている目的、ゴールというものを知る必要があります。まず最初にやることは、子どもの目が向く方向が定まるような質問をしてやるのです。こんなふうに質問します。

 「あなたはこの科目についてどのようなことを知っていますか?」

 たとえば、これから第一次世界大戦について勉強しようとしていたとします。子どもに、「第一次世界大戦について何か知っていることはありますか。」と持ちかけるのです。すると、子どもは知っていることを全部話し、これから学ぶことについて考えます。それと同時に、子どもが既に知っていることをまた教えて、余計な時間を費やすということもなくなります。

 次に子どもに、「この科目で、あなたはどんなことを学びたいですか。」と質問します。まず子どもの興味を駆り立ててやるのです。その科目を勉強し始める一週間ぐらい前に、そう質問してみてください。さらに科目に関係している本や雑誌を用意しておくことによって、子どもが興味を持つことを助けてあげてください。

 大切なのは、まず私たちがその科目に興味を持つということです。そうしなければ、子どもは興味を持ちません。どのように興味を持っているか、よく子どもと話し合うことが大切です。

 

 計画されたゴール

 以上のふたつの質問で、子どもが何を知っているか、そして何を学びたいかがわかりました。次にやらなければいけないことは、計画を立てるということです。ほんとによく計画されたゴールを用意してください。そのゴールを計画表のようなものにして書き出すとよいでしょう。それによって、わたしたちも、また子どもも何を勉強しようとしているかということと、ゴールを忘れずにすみます。

 そのコピーを子どもにも渡してあげてください。小さい子どもでも、図や、絵による計画表をもたせてやることができます。子どもたちは、一つ一つのゴールに到達するごとに、しるしをつけ、すでに学んだことを消していくことによって、楽しむことができます。目的が何なのかということを目でいつも確認することで、横道にそれずにすみますし、どこまで勉強が進んだかということを知ることができます。そうすることによって、学ぶことの責任を、子どもの肩におくことができるのです。

 わたしたちがやらなければいけないことは、とにかく子どもに道具を与えてやることです。もし、内側からのやる気が見られなかったり、最初からのやる気が少しずつなくなってきているということが見られるときにはどうしたらいいでしょうか。

 そのとき、もう一度ゴールを確認する必要があります。子どもといっしょに、もう一度計画表を見直してみてください。そして、もう一度ゴールが何なのか、どうしてそのゴールにたどり着こうとしているのか思い出してみてください。あとどのくらいやったら、そのゴールにたどり着けるのか、今までどのくらい学んできたのかということを確認してください。これからやるべきこと、今までやってきたことをいっしょに考えることによって、総合的にこれから何をしていけばいいのかを見直すことができます。このことをすることによって、失せてしまったやる気を取り戻してやることができると思います。

 

 外的な動機付け

 このことをしても、またいっしょに祈ってみてもまだやる気が見られないときには、外的な動機付けをしてやる必要があります。これには、三つの方法が挙げられます。ほめたり、ねぎらったりする方法、褒美を与えるという方法、そして罰則を与えるという方法です。

 ほめる方法としては、ねぎらったり、励ましたりする言葉をかけてやったり、肩をポンポン叩いてやったり、「100点!よくできました!」と書いて壁に貼ってあげたりするのです。この方法は、必ず人と人との関わりによって与えられる動機付けです。

 そして、実際に子どもが手につかめるものとして、ほうびを与える方法があります。「もし今週、この学習を文句を言わずに全部やり遂げることができたら、あたらしい筆箱を買ってあげましょう。」「ここまでやり遂げることができたら、一日ホームスクーリングをお休みして、どこかに遊びに行きましょう。」というのが、この方法です。

 そして、罰則を与える方法があります。「もし、今日の学習を勉強の時間の間に全部終わらせることができないなら、遊ぶ時間になってもまだ勉強を続けなければいけませんよ。」というように、「もし、これをやったら、その結果としてこういうことがついてきますよ。」ということを教えることです。しかし、この罰則を与えるという方法には、大事なことが二つあります。できることなら、自分がやったことに関係のある罰則であることと、ただの脅しではなく、実行可能な罰則でなければなりません。たとえば、「もし、ここにじっと座っていることができないなら、お尻を叩きますよ、ほんとに叩きますよ!」と言ったとしても、実際にお尻を叩かなかったとしたら、子どもはすぐにそれを嗅ぎ取るでしょう。子どもに、「今日の勉強をお行儀よくちゃんとやることができなかったなら、今晩の食事には連れて行きませんよ。」と言ったとします。でももし、ほんとうにそうする気がないのなら、ただ言葉を使って子どもを脅すようなことはしないでください。

 最近、わたしはディズニーランドに行きました。そこで、とてもいい例になるような場面を見かけました。ゲートのところにあったトイレの中におばあちゃんと孫と思われる男の子がいました。おばあちゃんが、「今のうちにここで用を足しておきなさい」と言っていました。でもその子は、「まだ出ない、行かなくてもいい、行きたくない」と言い張っているのです。やり取りが続くうちに、おばあちゃんは後に引かなくなってきて、「ディズニーランドに行きたくないの。ちゃんとトイレに行かないなら、中に連れて行ってあげないよ」と言ったのです。でも、その子はまだ、「行きたくない」と言っていました。おばあちゃんはついに、「わかりました、もうディズニーランドに連れて行ってあげませんからね。」と言ったのです。しかし、最後に根負けしたのはおばあちゃんの方でした。トイレから出ると、ディズニーランドの乗り物のほうに歩いていったのです。このことによって、あの男の子は、「おばあちゃんは、いくら口でいっても、それをほんとうにする気はないのだ」ということを学ぶことができたのです。それこそ、彼の思うつぼだったのではないでしょうか。

 これは、罰則の正しいやり方とはいえません。ほめることにしても、ほうびをあげることにしても、罰則にしても、大事なことは、これは外側からの動機付けだということです。

 どの動機付けの方法を使えばいいのか、いつ、どこでそれをすればいいのかを見極めることはとても難しいことです。これらの動機付けの方法は、どんな状況においても、またどんな子どもの性格にも合うというものではありません。

 わたしの3人の子どもも、それぞれが違います。一番上の子の場合は、わたしがちょっとがっかりした表情を見せるだけで十分やる気になりました。二番目の子の場合は、はげまして、たくさんほめてやる必要がありました。もし、彼女のできないことばっかりに目をつけて、ほめるということをしないならば、彼女はやる気をなくしてしまいます。三番目の息子は、わたしががっかりした表情をしても、ぜんぜん気にしない子でした。ですから、罰則をたくさん必要としたのです。

 

 目標は子どもの自発性

 わたしたちは、子どもをよく知ることによって、どの動機付けの方法を使えばいいのか、学んでいく必要があります。しかし、もう一度ここで思い出さなければいけないのは、最終的な目標は、子どもたちが外側から強制されてやるのではなく、内側から自発的にやる気を起こして勉強をするようになることです。ですから、外側からの動機付けをする時間は、なるべく短くすませるべきです。もし、ねぎらったりほめる言葉を使ってもうまくいかず、ほうびをあげてもうまくいかないなら、罰則を与える方法を使うべきです。

 

 子どものために祈る

 そのように段階をふんでいって、最後まで行ったとしたら、それから戻るときにも、同じ順序で戻っていくべきです。もし、罰則を受けた子どもが、それに懲りて、もうそれをしなくなったとしたら、さらに動機付けをするためにほうびを与えてやってください。そして、それをしなくてだいじょうぶだと思ったら、言葉でほめてやるのです。そして、子どもが内側からやる気を起こしていくかどうか見てみてください。

 子どもが内側からやる気を起こすようになったとしても、時には励ましの言葉をかけてやったり、ほうびをあげたりすることを忘れないでください。けれども、ここで一番言っておきたいのは、子どもがやる気を起こす動機の一番の理由は、わたしたち両親や、関わる大人が子どものために祈っているのだということを教えてやることだということです。将来のこと、勉強していること、霊的な成長、人格形成について子どもたちと一緒に祈ってください。彼らが心配していること、関心のあることについて、一緒に祈り、とりなしてください。

 でも、注意しなければいけないことがあります。たとえば、「天のお父さま、ジョニーがもっとお行儀よくなりますように」というふうに、自分が子どもにやらせたいと思っていることをお祈りの中で言うことによって子どもに知らせるというようなことをしないでください。そのような祈りには意味がありません。子どもに向けて、子どもに聞かせようと思って祈るよりも、祈りは、それが神さまとのほんとうのコミュニケーションであり、心からの祈りであるべきだからです。  ◇