21世紀の出エジプト大作戦第二段 

アジア・ミッションレポート   

稲場 寛夫(チアにっぽん代表)

御霊はアジアの国々で扉を開いている

 

 第二のリポートはハリウッドから一転してタイ・南アジアの国々でのキリストのムーブメントです。啓明宮城小学校、宮城明泉学園を支える丸森チームで、アジア各地での伝道が始まったのは今から約40年前のこと。およそ300人の伝道者が励んでいます。10日間にわたってタイと南アジアの国々の伝道地を取材する機会が与えられました。

勇ましき高尚なる生涯

 バンコク空港を経由してタイ北部の都市、チェンライに到着、伝道チームに合流しました。タイは強い仏教の国で、クリスチャン人口1%以下という、これまでの常識がひっくり返される、特別な体験でした。

 最初の夜は、こちらで44年間過ごしている伝道者、中村さんらの話しに心打たれました。自分たちが残せるもの、それは、お金でも建物でも著作物でもなく、キリストに従い続けた勇ましき高尚なる生涯、その生き様であること。自分たちは主が磁石のようになって、くっつけてくださり、お互いに愛するために、主の栄光を喜び、伝道するために目的をもって集められたこと。

 チームは中村さんの長女の聖美さん(東南アジアで生まれ育ちました。啓明宮城小東南アジア校を卒業)、多田真理子さん(啓明宮城小出身、タイ伝道11年)、佐藤証さん(あかしさん。中学卒業時に主の召しを確信、丸森チームに合流し、伝道に専心。タイ伝道11年。)と合わせて4人。女性3人は、伝道にたずさわりながら通信制で高校を卒業、玉川大学(通信)で教職課程を修了しました。

 メンバーは皆、流暢なタイ語を話します。伝道地での第一歩は、現地のことば、特に伝道時に必要な語学力の徹底した習得から始まります。このチームはタイ在住10年以上のベテランですから、ほとんど、ネィティブスピーカーです。3人の姉妹はタイ料理も得意。ソムタンというパパイヤを細切りし、ピーナッツと唐辛子を入れたサラダや、カウニャウという手で食べる固いもち米、それからタイ風味の野菜いためがとてもおいしかったです。

 

3500人の公立高校、全校集会で伝道の扉開かれる

 

 翌朝、最初に向かったのは、3500人の生徒を抱える公立高校。2日前、朝礼で15分間、福音を語る自由が与えられたのです。

校門には3メートルあまりの黄金色の仏像が立てられています。タイのほとんどの公立校では、校門や校庭に仏像が建てられています。アメリカのヒットソングをタイ人歌手がカバーした曲が校庭に流れるなか、生徒たちが登校。3500人の子供たちが整列し、国旗掲揚、お経を唱え、タイ国王を礼拝した後、マイクは中村さんの手に渡されました。

「創造主は天地万物を造りました。しかし、人間は、その創造主に反抗し、罪の裁きを受けることとなりました。しかし、神はそのことを望まず、救い主キリストを地上に送りました。人間はそのキリストを十字架にかけました。しかし、キリストは復活し…」

3500人の生徒たちに向けて、キリストの愛と赦しの福音が語られました。その後、福音を簡潔にまとめた小冊子が全員に手渡されました。こうして、日本からの宣教チームとの10日間が始まりました。

 

期末試験を中段して、福音を聞く 

 

 二つ目の公立高校では、既に授業が始まっていました。前日に許可をくれた事務局長さんを訪ねると、職員会議で発表ずみとのこと。4人のメンバーは、教室へと散りました。

「先生、こんにちは。よろしく御願いします。」佐藤証さんがドアをノックすると、先生は笑顔で授業を中断、生徒たちも暖かく迎えました。証さんへのあいさつは、担任の先生に対してと同じことばでの出迎えなのだそうです。つまり、突然訪れた伝道者、証さんですが、尊敬すべき先生として歓迎されるのです。証さんは、まず紙芝居、5分ぐらいで福音を語ります。

「天地を創造した唯一の神がいること、その神様が人間を造られた。しかし、人間は神様に敵対し反逆、死と裁きを招いた。しかし神様が、一人子イエスを救い主として、この世界に送られた。キリストは様々な奇蹟を行い、そして天国の良きおとずれを伝えた。しかし、当時の聖書学者、パリサイ人たちに憎まれ、死刑の宣告を言い渡された。キリストはむち打たれ、十字架に張り付けにされ、殺された。キリストは私たちの罪の身代わりになって死なれた。それは誰でも、キリストを信じる者が罪赦され、永遠の命を受け取るためであった。キリストは葬られ、3日目によみがえり、その証拠として、40日の間、500人以上の人々に現れた。そして40日目にイエスは雲に迎えられ、天に引き上げられた。キリストは今も天に生きておられ、再び、この世界に帰ることを約束された。キリストの再臨が世の終わりである。死んだ人がみなよみがえらせられ、生きている人々と共に、裁きを受け、天国か地獄に定められる。キリストを信じなかった人は地獄に定められ、キリストを信じた人は天国に迎えられる。良き福音を信じてください。」との、ストレートな福音が伝えられます。子どもたちの福音を聞く、まなざしは真剣でした。

 紙芝居の後に、キリストの小冊子を全員に配ります。そして、次のクラスへ。4つめのクラスで、初めて断られました。その先生は、校長から話しを聞いていないとのこと。許可はおりませんでしたが、「朝の職員会議で許可の知らせがあったはず。」との証さんの積極的な粘りがとても印象的でした。

 さらにびっくりしたのは5クラスめ、試験の真っ最中のクラスでした。担任の先生は言います。「はい。試験ストップ。これから、イエス・キリストの話を聞きます。試験の続きは、その後です。」私は本当に驚きました。日本でもアメリカでも、考えられるでしょうか。これが、仏教支配の強いと思っていた国、タイで起こっている真実の姿でした。

 この学校で証さんは、10クラスまわりました。「日本に一時帰国した時、タイの子どもたちは、日本の子どもたちの反応とは、ずいぶん違うと感じました。タイでは宗教は最も大切なものと、とらえられています。日本はうさんくさいか、気持ち悪いとされ、警戒するよう教え込まれている子どもが多いと思います。こちらは、イエス様に対し、とにかく尊敬を持って、真剣に受け取ろうとします。」とのことでした。日本の「教育」とはなにか、思わずにいられません。

 

自分から耳を傾ける高校生たち

 

 先生の前だから、みんなまじめに聞くのではとも思いました。しかし、そうではありませんでした。休み時間で、先生がいないクラスに中村さんが入っていきました。そこにいた生徒たち10人が集まり、福音を聞きました。一人の生徒は最初、輪に加わりませんでしたが、中村さんが声をかけると、ちょっとはづかしそうにしながら、加わってきました。

 すでに伝道が終わったクラスの休み時間を見る機会がありました。ほとんど全員が小冊子を真剣に読んでいるではないですか。誰に命じられたわけでもなく、一生懸命、読んでいるではありませんか。私は面食らい、すごい風景と思いました。

 チームの車に、女子高生が一人、自分もクリスチャンだといって訪ねてきました。「伝道してくれたことが、とてもうれしく、感動しました。最近、友達にクリスチャンが増えています。」彼女は、真理子さんに、ずっと話し続けました.

 

全校の生徒が行進してくる、福音を聞きに!

 

 その日、伝道チームは、飛び込みで小、中学校7校をまわりました。みな校長先生が許可を出し、全校生徒が行進して校庭や、体育館に集まり、特別伝道集会が開かれていきました。ある学校では、校長先生自らが児童たちと小冊子を声を出して読み、必ず、親にも読んでもらうように勧めました。できれば無料配布聖書をもらうよう、後ろに書かれた住所を説明するほどでした。これはミッションスクールではなく、タイの公立校で起こったことです。

  

タイ全国80%の公立校を伝道!

 

 この学校伝道グループに平行して、同じ地域で、別働隊が動いています。車に積んだスピーカーでの福音メッセージグループ、全戸にトラクト(小冊子)を配布するグループ、御言葉の看板を木々や街角に掲げるチームらの伝道が展開されます。

 丸森チーム(啓明宮城小、明泉学園を生んだ日本のミニストリー)は1970年代にタイ伝道に着手、人口6000万人のタイ全国をくまなくまわり、現在、3巡目に入っています。学校伝道チームは、すでに80%あまりの公立校を2回から3回、巡回しています。私たちが同行したタイ北部地域の学校は、1988年、そして1994年にまわり、今回が3回めの伝道とのことです。

 

事実とは何か

 

 この20年間にわたって、タイで扉開かれている、いくつかの理由を伺いました。タイでは仏教にベースをおきながらも、聖書に対する敬意を持ち、子どもたちにも学ばせようとしていること、また伝道チームはタイでの認知度も高く、お金や人集めが目的ではなく、ただ聖書のみ言葉を伝えることが目的との理解が進み、受け入れの扉が開いていること。もちろん、「出て行ってのべ伝えよ。」との命令に聞き従い、扉を叩き続けている結果でもあること。そしてもう一つの理由は、人間の常識や思いを超える聖霊の業、主の「とき」なのだと思いました。

 世界はキリストを中心に急速に動いています。日頃、メディアや慣習、人の常識を通して与えられる断片的な情報にの限界を思います。事実とは何か。断片的な事実や、この世の情報に惑わされない真実を祈り求めていく必要を、強く思いました。

 

「主のことばの飢饉」の前に

 

 「今は収穫の時だが、働き人が少ない。」という状況でした。電気やテレビの浸透が激しく、時間はそんなに多く残されていないとの感もしました。最近は、こちらもドラッグやエイズ、また欧米の文化の流入も激しく、子どもたちの素朴さも失われてきているとのことでもあります。「主なる神は言われる、それはパンの飢饉ではない、水にかわくのでもない、主の言葉を聞くことの飢饉である。」(アモス書8:11)その時が来る前に、伝道チームの皆さんは、今日もみことばの種を蒔き続けます。

 

タイ山岳地帯、そして緊迫の南アジアでふれた人間の原風景

 

 私はさらに、タイ北部山岳地帯・少数民族の村々へのビデオ伝道チームに合流しました。クリスチャンになったら、村を出なくてはいけないという厳しいおきてのある地域であり、シャーマンらを中心としたアニミズム信仰の強いエリアです。そしてさらに宗教紛争まっただなかの南アジアの緊迫した地域での伝道へと向かいます。昨年、丸森チームの女性たちが40人の人々に連行され、殉教を覚悟したり、チームの車が破壊されたりしている地域でもあります。しかし、そこでも私は、これまでの情報と違う情景と出会います。み言葉を真剣に求めるまなざし、食事代を削って、聖書を買い求めるために列をなす人々。創造主を求める人間のこころの原風景。創造主のみことばはどれだけ素晴らしく、どれだけパワフルであることか。このような、すごい福音が私たちに委ねられていることに、戦慄を覚えるほど、主を畏れる体験となりました。その主を知った恵みと特権をあらためて感謝することとなりました。

 主のそれぞれの召しに従うこと、それはハリウッドの女優でも、タイの伝道者でも構わない。形にこだわらず、しかし大胆に誇りと勇気と謙遜と喜びをもって主に聞き従っていく、その勇ましき高尚な生涯に喜んで進みたくなる体験が、さらに待っていたのでした。(次号に続く)■

 

 

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